◎世界中のスタジオで、モニタースピーカーとして今も活躍中のYAMAHAの名機NS-10M（通称テンモニ）ですが、その最終形にして最高価格版NS-10MT（定価￥68,000 1995年12月発売）です。 ウーハは白く、ストロークもあり、かなり良い状態の個体と言っていいと思います。 ◎従来型に較べ各ユニットをランクアップし、防磁設計を採用しています。しかし何といっても一番大きな特徴は、唯一バスレフ構造を採用していることでしょう。これによって迫力ある低音を手にしました。 しかし、同時に「音像が今ひとつハッキリしない」「テンモニらしくない」という評判につながってしまったのもある種の側面です。 ◎そんなMTですが、ウーハについて、(1)コーンにポリマー加工、(2)エッジに柔軟化処理を施したところ、そもそもポリマー加工に「高分子コーティングの分子同士が互いに引っ張りあいコーンをパンと張らせる作用がある」ことから、エッジの柔軟化と相まって（あくまで主観ではありますが）低音のキレ、メリハリのきいた中低音域を手に入れることができました。 ウーハのポリマー加工は、一義的には、本来の白さを取り戻し、湿気や紫外線などによる劣化からウーハを守るためですが、(1)と(2)がウーハのストローク深化、機敏化を生んだわけです。 要するに低音の迫力はそのままに、多少ぼよんとしていた音像が俄然引き締まりました。 そうなると、もともとのテンモニ本来の良さである自然さ、定位とメリハリが際立ってきます。30年以上のテンモニ歴（?）ではありますが、MTにこの加工は今回が7度目。私にはこの方向性こそ最高のテンモニの方向性だと思えています。いわゆる「音が見える」感じです。 ◎ネットワークなどはオリジナルのままです。バナナプラグ対応端子は最初から採用されており、内部線も交換無用な高級なもの（ALR/JORDAN）でした。交換するとすれば10μF電解コンデンサですが、音色が変わってしまう危惧もあり、見送っています。ちなみに従来型に較べて交換は簡単です。 ◎状態は写真でご覧いただける通りで、四半世紀前のモデルということを考えると、かなりの美品・美音です。もちろんペアでお送りします。 幅215x高さ382x奥行255mm（従来型“NS-10M”より奥行きあり）。【090麻】