本品、メキシコ琥珀25個の連は、メキシコ南部のオアハカで10年ほど前に入手しました。琥珀の主要産地はバルト海地域ですが、ドミニカ共和国とメキシコ、日本などで産します。 　メキシコの琥珀は、2500万～4000万年前に繁茂したヒメナエア属の樹液が化石化したモノで、入手地オアハカ州のモンテ・アルバン遺跡（前5世紀～後8世紀）からも琥珀が発見されています。東隣りのチアパス州がメキシコ琥珀の主要な産地です。 　研究書によりますと、植民地期以降、琥珀はチアパスの輸出品でしたが、植民者スペイン人による採掘はされませんでした。それ以降、現代まで、手作業での採掘が行われています。1970年代後半から90年代に琥珀の採掘が盛んになりましたが、輸出は限られています。 　本品は、透明感ある黄褐色の琥珀色丸玉の連です。トップには大きめの玉（高さ　約20㍉）で、胎には、黒い樹木の小さな残滓片が多数、また、気泡も含まれます。 　トップの玉では、片側の孔の縁に小さなカケが見られ、近代的でなく、手工業風な伝統的穿孔により生じたようです。使用に支障となるカケではありません。 　トップの胎は、半分は普通の球形ですが、他の半球では、手触りで分かるほど、一部がわずかに角ばり、また、孔に向け急に丸くなる下膨らみ形で、短い溝も浅く見られます。こうした成形が、不均衡な手作り感を漂わせます。 　本品、ラインの他の玉にも、トップに見られた特徴が見られます。残滓片は全てに見られ、気泡も、トップの両側中玉や、中央の大玉（トップから７つ目）などに多く、表面には気泡崩れの孔も見られます。大玉には、一部に角ばり見られます。 　本来の琥珀は、約３万年以上を経て樹脂が化石化したモノで、若い半化石の樹脂コーパルも3万年～数100年前の時を経ているとされます。いずれも、樹木の葉やその他残滓、時には昆虫などが胎に含まれ、気泡も含まれます。販売用の琥珀は、油のなかでゆっくり熱され、気泡や亀裂に油が染み出し透明度が増しています。 　合成樹脂製の琥珀も残滓や気泡を含むモノもありますが、本品は手作りの風合いが強い形状で、入手地が有数の琥珀産地であって、今日まで続く手工業風の採掘などから、本品は、メキシコの琥珀か半化石のコーパルと考えられます。 サイズ　トップ　高さ　約19㍉　幅　約20㍉弱　孔径　約2㍉　全長　約40㌢　重さ　73㌘