トルクメニスタンを中心に中央アジアで遊牧生活を送っていたトルクメン族の一支族、エルサリ支族の手による作品との事で入手しました。縦約42㎝、横約135㎝です。90〜100年前に織られたアンティークとの事です。 嫁入り道中で花嫁を乗せるラクダの装飾目的に織られた品のようです。下部にフリンジが付いていた跡があります。トルバという横長の収納袋の可能性もありますが、裏側が付いていた痕跡(裏側を切り離した痕跡)がありません。元々装飾面のみの作品と思われます。 中央に並んでいるのはウズベキスタンのイカット(絣)が起源とされるモチーフです(乙嫁語りをご存知の方は双子の姉妹の住んでいる地域の衣装をご確認下さい)。以前もイカットモチーフのトルバを出品しましたが、あちらよりも良く見るタイプのイカット柄です。 トルクメンならではのギュルが整列したラグと比べるとどことなく剽軽というか、ユルさを感じる風情です。 トルクメン族は赤を特に好むとの事ですが、こちらも濃い小豆色がメインです。特に黄色の発色は見事です。アイボリーは羊の原毛の色、その他は天然染料由来の色かと思います。 明るい所では小豆色のベースのアブラッシュ(色むら)が目立ちより美しく立体的に見えます。光を反射してパイルも艶々にみえます。写真一枚目は太陽光の下で撮影しました。 用途の為かパイルの磨耗はわずかで、トルクメンとしては長めのパイルな事もあり、もふもふと言いたくなるような手触りです。 四辺はオリジナルの状態で、上下の端は三つ折りでかがられていますが、所々かがり糸に解れがあります。左右の縁には多少の擦れがある程度でしっかりしています。 購入時は非常に汚れていましたのでウール用洗剤で洗濯しました。我が家では写真にありますようにロングベンチに敷いて合計一年程使用しましたので、出品にあたり水拭きしてから良く乾燥させてお手入れしてあります。 オールド キリムから始まり、トライバル ラグ・部族系絨毯と言われる毛織物にはまり、数年前にオランダのディーラー様から譲り受けたものです。収納整理のため出品します。オールドキリムや絨毯がお好きな方、古い手工芸品に理解のある方にお譲りしたいと存じます。長い年月を経てきたなりの難がありますが、作成し使用してきた人々や歳月に思いを馳せつつ、現状のまま愛でて下さる方の購入をお待ちしております。